JIS Z2503:2000 粉末や(冶)金用金属粉 −試料採取方法 Powders for powder metallurgical purposes−Sampling
1. 適用範囲及び応用分野 この規格は,粉末や(冶)金用金属粉の試料採取方法及び試料を試験に必要な量に分ける方法について規定する。
2. 引用規格 省略(日本工業規格では規定しない。) 参考 ISO 3954ではISO 78, Guide on the form for standards for chemical products and for methods chemical analysis及びISO 3081, Iron ores−Increment sampling−Manual methodを規定しているが,この規格では直接ISOを引用していないため省略した。
3. 定義 用語の定義は,次による。
3.1 ロット (lot) 一様と推定される条件のもとで処理又は製造されたある量の粉末。
3.2 抜取試料 (increment) 単一ロットから試料採取装置を用いて一度に抜き取られたある量の粉末。
3.3 総合試料 (gross sample) 単一ロットから採取したすべての抜取試料を総合した粉末。
3.4 代表試料 (composite sample) 総合試料をブレンディングした試料,又はそれの代表的な一部分。ロットを直接試料分離器などで分けて得る場合は十分にブレンディングして試料とする。
3.5 試験試料 (test sample) 粉体の一特性を測定するため,又は試験片を準備するために代表試料から取り出したある量の粉末。通常,これは代表試料を分けることで得られる。
3.5.1 測定試料 (test portion) 各試験に用いるため,試験試料又は試験試料と代表試料が同一の場合は代表試料から取り出された一定量の粉末。
3.5.2 試験片 (test piece) 試験試料から準備した規格に基づく試験片。
4.2 連続的に粉末が流れ出しているときの試料採取 単一のロットの粉末が流れ出している場合,完全に流れが終了する間に規則的な間隔で抜取試料の取出しを行う。抜取回数は試験要求が満足でき,少なくとも開始直後,中間,さらに完了直前の3回は取出しを行う。
5. 試料採取
5.1 一般事項 代表試料がそのロットの代表的なものになるように,かつ,その粉末の諸特性が変化しないようにできるだけ正確に採取する。 備考 偏析は容器への充てん時,容器からの排出時,運搬時,保管時に振動を受ける場合に発生するであろう。 粉末に触れる試料抜取器の表面は,滑らかで,かつ,清潔にしておく。 5.2 試料採取方法 試料採取は,粉体特性が変化しないように行わなければならない。
5.2.1 区分けによる試料採取 4.3に示す装置で,ロットから直接試料を採取する。
5.2.2 連続的に粉末が流れ出しているときの試料採取 試料採取用容器は,粉末の流れの断面に対して十分余裕のある大きさで,かつ,断面のすべての粉末が採取される機構をもつものでなければならない。 備考 最も簡単な採取方法は,採取用容器を粉末の流れに対して直角に一定速度で横切らせることである。 5.2.3 試料抜取器での試料採取 いろいろな形状の試料抜取器を使用することができる。抜取器の長さは容器に対して十分な長さであり,粉体の流動性を考慮した設計のものとする。例を付図2及び付図3に示す。 5.2.3.1 付図2に示す試料抜取器は,流動性がよく自然に充てんできる粉末だけに適している。これは,片方が閉じられた内側と外側の管からなっており,縦方向にスリット状の窓があり,二つの管がお互いにねじれるときに窓がうまく開いたり閉じたりするようになっている。二つの管は粗粒粉の場合でもかじり現象が生じないように,お互いに緩く組み合わさっている。 試料抜取器は,窓を閉めたままで容器の底に垂直に差し込む。抜取器が底についたときに窓を開け,下から上へ粉末を採取した後窓を閉じて取り出す。抜取器の中身を総合試料用容器内に移す。
5.2.3.2 付図3に示す試料抜取器は,底が開いた一つの管からなる。適当な管の直径を選び,管を引き出したときにその内部に粉末が残っていることが大切である。 試料抜取器は,容器の底に垂直にゆっくりと差し込む。抜取器が容器の底についたときに引き出し,その中身を総合試料用容器に移す。
備考
1. もし粉末の深さが抜取器の窓の高さより深ければ,より多くの抜取試料を粉末のすべての深さから採取する。この場合,抜取試料の数は,窓の深さに対する粉末の深さの比の倍数になる。
2. もし抜取器を差し込む方向に混合状態の不均一さが認められるならば,抜取りを各々の層から同一量行わないと誤差が生じる。
3. 抜取器を差し込む方向と直角な方向での不均一な混合状態の影響を少なくするために,抜取器を挿入する箇所はできるだけ分散して行う。例えば,2〜3の抜取試料を一つの円筒形容器の中身から抜き取る場合,それらを抜き取る位置は,それぞれ容器の中心から比例した距離でなければならない。もし一つの抜取試料だけを円筒形容器の中身から抜き取る場合は,抜取器を中心から半径の0.7倍の距離に差し込む。
JIS Z2503:2000
PS:Thank you for your support!