JIS R7607:2000 炭素繊維−単繊維の直径及び 断面積の試験方法 Carbon fibre−Determination of filament diameter and cross-sectional area
1. 適用範囲
この規格は,単繊維の直径及び断面積を求める4方法を規定する。 単繊維の断面形状は製造業者によって異なるため,試験方法の選択に注意する。 この規格で使用する直径という用語は,断面が円形であり“真の”直径を表す場合はもちろん,断面が円形ではなく“見掛けの”直径を表す場合にも用いる。 製品規格には,いずれの試験方法を用いるかを規定することが望ましい。製品規格に試験方法が規定されていない場合には,本体に記述した方法の詳細を参照のうえ,適切な方法を選択する。
2. 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。 JIS R 7603 : 1999 炭素繊維−密度の試験方法 備考 ISO 10119 : 1992 Carbon fibre−Determination of densityからの引用事項は,この規格の当該事項と同等である。
JIS R 7605 : 1999 炭素繊維−線密度の試験方法 備考 ISO 10120 : 1991 Carbon fibre−Determination of linear densityからの引用事項は,この規格の当該事項と同等である。
JIS R 7606 : 2000 炭素繊維−単繊維の引張特性の試験方法 備考 ISO 11566 : 1996 Carbon fibre−Determination of the tensile properties of single filament specimensからの引用事項は,この規格の当該事項と同等である。
3. 原理 単繊維の直径及び断面積を求める方法は,次による。
3.1 A法 直径を計算によって求める方法
3.2 B法 直径を光学顕微鏡によって測定する方法
3.3 C法 直径及び断面積を試料の横断面について顕微鏡によって測定する方法
3.4 D法 直径をレーザ回折によって測定する方法 備考 A法では直径の平均値しか得られないが,試験の目的によっては有用な方法である。B法,C法及びD法は実測値が得られる。
4. 試験片 試験片は,試料糸から採取する。 試料糸を構成する単繊維の直径は,個々の単繊維の間にばらつきがあるし,また,1本の単繊維の長さ方向にもばらつきがある。したがって,糸の試料1点につき20試験片の直径及び断面積を測定し,統計処理して結果を求めることが望ましい。
4.1 A法 試験片として糸を試料から採取し,その長さはJIS R 7603及びJIS R 7605の規定による。試験片の数は1点とする。
4.2 B法及びD法 試験片として長さ約50mmの単繊維を試料から採取する。試験片の数は20点以上とする。
4.3 C法 試験片として長さ約30mmの糸を試料から採取する。試験片の数は1点とし,20本以上の単繊維から構成されていること。
5. A法:直径を計算によって求める方法 単繊維の直径の平均値は,JIS R 7605によって測定した無サイシング糸の線密度,JIS R 7603によって測定した密度及び糸を構成する単繊維の本数から計算によって求める。単繊維本数は炭素繊維の製造業者が開示する。 単繊維の直径の平均値dは,式(1)によって求め洀栰夰ctd3104 (1) ここで,
t: 糸の線密度 tex 糸の密度 g/cm3
c: 糸を構成する単繊維の本数
6. B法:直径を光学顕微鏡によって測定する方法
6.1 原理 単繊維試験片を側面から見た像の幅を光学顕微鏡によって測定し,これを直径とする。 備考 B法の精度は,測定に用いる光の回折によって決まり,直径が10洀下の単繊維にこの方法を使用するのは好ましくない。
6.2. 装置
6.2.1 光学顕微鏡 光源,集光器,ステージ,対物レンズ及び測微接眼レンズからなる測微顕微鏡。ステージは,十字動ステージとし,かつ回転できるものとする。対物レンズ及び接眼レンズの倍率は,単繊維を視野に入れる場合には100倍以上,単繊維の直径を測定する場合には,1 000倍以上を用いる。 6.2.2 試験片台紙 長さ25mm±0.5mmの穴のあいた紙,柔軟な金属又は樹脂からなる薄いシート。図1参照。
JIS R7607:2000
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