JIS K4822:2001 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−電気抵抗率の求め方−第1部:二重リング電極法
1 適用範囲
この規格は,加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの二重リング電極法による体積抵抗率及び表面抵抗率の求め方について規定する。
なお,この規格は,試験片の厚さが0.5 mm〜5.0 mmのときに,体積抵抗率が101〜1017 Ω・m(103〜1019 Ω・cm)である材料に適用する。 注記1 金属以外の材料(ゴム,樹脂など)では,電気抵抗率は,材料の内部を導通する電流と表面を導通する電流とを考慮する必要があるので,材料内部に関わる電気抵抗率を体積抵抗率とし,材料表面に関わる電気抵抗率を表面抵抗率として区別している。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14309:2011,Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of volume and/or surface resistivity(MOD) なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”ことを示す。
警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。この規格は,その使用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責任において安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7507 ノギス JIS K 6200 ゴム−用語
3 用語及び定義 この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6200によるほか,次による。
3.1 体積抵抗(volume resistance) 二つの電極間の直流電圧を,電極に挟まれた試験片の内部を流れる電流で除した値。 注記 体積抵抗の記号は,Rv(Ω)で表す。
3.2 表面抵抗(surface resistance) 試験片の同一表面に設けた一対の電極間の直流電圧を,表面層を流れる電流で除した値。 注記 表面抵抗の記号は,Rs(Ω)で表す。
3.3 体積抵抗率(volume resistivity) 試験片の内部を流れる電流に対して平行方向の電位差の傾き(単位長さ当たりの電位差)を,その電流密度で除した値。この数値は,各辺0.01 mの立方体の相対する2表面を電極とする二つの電極間の体積抵抗に等しい。 注記 体積抵抗率の記号は,ρv(Ω・m)で表す。
3.4 表面抵抗率(surface resistivity) 試験片の表面層を流れる電流に対して平行方向の電位差の傾きを,表面の単位幅当たりの電流で除した値。この数値は,各辺0.01 mの正方形の相対する辺を電極とする二つの電極間の表面抵抗に等しい。
注記 表面抵抗率の記号は,ρs(Ω)で表す。
3.5 二重リング電極法(guarded-electrode system) 試験片の片面に同心円の二重電極を形成するとともに,反対面にも電極を形成することによって,体積抵抗率及び表面抵抗率を求める方法。
4 原理 規定に従って配置した電極を用いて,電圧を印加し,電流を流すことによって,試験片の体積抵抗及び/又は表面抵抗を測定し,測定した抵抗値から体積抵抗率及び/又は表面抵抗率を計算する。 電極構成は,主電極,リング電極及び対向電極の三つからなり,これらの電極は,それぞれ測定電極,ガード電極及び電圧印加電極として機能する。ガード電極は,印加電圧以外の電圧,迷走電流などの影響から電極を防護し,測定誤差を減少させる機能をもつ。また,ガード電極の働きによって測定電極に流れ込む電流が明確になり,抵抗率の計算式が成り立つ[式(1)及び式(2)参照]。
JIS K4822:2001
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