JIS G 0591:2000 ステンレス鋼の硫酸腐食試験方法
1. 適用範囲 この規格は,ステンレス鋼の沸騰硫酸中の腐食減量を測定して,全面腐食の程度を試験する方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 6251 研磨布
JIS R 6252 研磨紙
JIS R 6253 耐水研磨紙
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8804 液体比重測定方法
3. 試験装置 試験装置は,次による。
a) 試験容器は,十分な冷却面積をもつガラス製の立形逆流コンデンサをテーパすり合わせで結合したガ ラス製のフラスコ(容量約1 000ml)を使用する。
b) ガラス製ホルダは,試験片を試験溶液の中位に保持できる,適切な形状のものを使用する。
c) 加熱装置は,試験中の試験溶液を静かな沸騰状態に保持できるものを使用する。
4. 試験溶液 試験溶液は,JIS K 8951に規定する硫酸(密度約1.84)と蒸留水又は脱イオン水によって調製する。試験溶液の濃度は,5.050(質量%)とし,その検定は,JIS Z 8804に規定する比重測定によるか,又はJIS K 8951に規定する中和滴定による。
5. 試験片 試験片は,次による。
a) 試験片は,全表面積が1030cm2で,圧延又は鍛造方向に直角の断面積が,全体面積の1/2以下になるように,供試材から採取する。鋳鋼品,溶着金属などの試験片採取方法は,それぞれの規格の規定 による。
b) 試験片を切断後,切断面を切削又は研削で再仕上げして,切断の影響部分を除く。
c) 試験片の表面は,JIS R 6251,JIS R 6252又はJIS R 6253に規定する研磨紙で,試験片の昇温を避け ながら順次240番まで研磨し,その後600番まで湿式研磨を行う。
d) 表面仕上げした試験片は,適切な溶剤又は洗剤(非塩化物)で脱脂後乾燥する。
6. 試験方法 試験方法は,次による。
a) 沸騰試験前後において,試験片質量を,少なくとも1mgのけたまではかる。
b) 試験溶液の量は,試験片の表面積1cm2当たり2530mlとする。
c) 試験片をガラス製のホルダを用いて,試験溶液の中位に保持するようにして入れ,連続6時間沸騰試 験を行う。一つの試験溶液の中では,同一鋼種,同一熱処理材だけを試験する。ただし,試験時間に ついては,受渡当事者間で変更することができる。
d) 沸騰試験後,試験溶液から試験片を取り出し,付着している腐食生成物を,JIS K 8541を用いて調製 した30%硝酸(室温)で,洗浄・水洗して除去するか,又は流水のもとで柔らかいブラシなどを用い て除去し,乾燥後質量をはかり減量を求める。
e) 試験溶液は,試験ごとに新しい溶液を使用し,一度試験した溶液を繰り返し使用してはならない。
7. 評価 腐食度は,沸騰試験後の質量減[単位面積,単位時間当たりの値(単位 : g/m2・h)]を,JIS Z 8401によって,小数点以下2けたに丸める。
JIS原案作成委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) 柴 田 俊 夫 大阪大学大学院工学研究所
(幹事) 金 子 道 郎 新日本製鐵株式会社鉄鋼研究所鋼材第一研究部
釜 土 祐 一 工業技術院標準部
佐々木 英 次 物質工学工業技術研究所化学システム部
田 原 晃 金属材料技術研究所環境性能研究部
橋 本 進 財団法人日本規格協会
宇 城 工 川崎製鉄株式会社技術研究所ステンレス鋼研究部
足 立 俊 郎 日新製鋼株式会社ステンレス事業本部ステンレス高合金研究部
佐 藤 義 和 日本金属工業株式会社技術開発部
樽 谷 芳 男 住友金属工業株式会社総合技術研究所ステンレス・チタン研究部
谷 内 俊 彦 日本冶金工業株式会社技術研究所
横 田 博 史 愛知製鋼株式会社部品開発部
正 村 克 身 NKK京浜材料研究センター
鈴 木 紹 夫 味の素株式会社生産技術開発センター
福 田 敬 則 石川島播磨重工業株式会社技術研究所構造材料部
都 島 良 治 千代田化工建設株式会社プラント設計部
笹 野 林 日揮株式会社技術開発本部材料技術部
鶴 田 孝 雄 三菱重工業株式会社高砂研究所
三 浦 健 蔵 三井造船株式会社技術本部玉野研究所
(事務局) 池 原 康 允 ステンレス協会
JIS G0591:2000
PS:Thank you for your support!