JIS A8407:2000 土工機械−操縦操置の操作範囲及び位置
1. 適用範囲
この規格は,大柄及び小柄な運転員を含めた一般の運転員が着座した状態における操縦装置の操作範囲及び位置について規定し,土工機械の運転室の操縦装置を設計する際に指針として用いる。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 6682 : 1986, Earth-moving machinery−Zones of comfort and reach for controls及びAmendment 1 : 1989 (MOD)
2. 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む)を適用する。
JIS A 8411-1 土工機械−寸法及び記号の定義−第1部:本体 備考 ISO 6746-1 : 1987, Earth-moving machinery−Definitions of dimensions and symbols−Part 1 : Base machineが,この規格と一致している。 ISO 3411 : 1995, Earth-moving machinery−Human physical dimensions of operators and minimum operator space envelope 参考
JIS A 8315(土工機械−運転員の身体寸法及び運転員周囲の最小空間)が翻訳規格として近く発行される予定である。
ISO 5353 : 1995, Earth-moving machinery, and tractors and machinery for agriculture and forestry−Seat index point 参考
JIS A 8318[土工機械−座席基準点 (SIP) ]が翻訳規格として近く発行される予定である。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
3.1 SIP ISO 5353に規定される座席基準点(標準の座席調整位置に固定)。
3.2 操縦装置の操作範囲 (control displacement) 操縦装置の操作範囲内における動きの量。
3.3 操縦装置の位置 (control location) SIPから測られた操縦装置のストローク量を含んだ位置。
3.4 主要操縦装置 (primary controls) 頻繁に,又は連続して使用される操縦装置で,次のようなもの。
a) 機械の操縦 (machine controls) 変速機,ブレーキ,かじ取り,エンジン回転速度など。
b) 作業機の操作 (working tool controls) ブレード操作,バケット操作,リッパ操作など。
3.5 補助操作装置 (secondary controls) 使用頻度の少ない操作装置で,ライト,ウインドスクリーンワイパ,スタータ,ヒータ,エアコンディショナなどを操作するもの。
3.6 最適操作範囲 (zones of comfort) 手又は足で操作される主要操縦装置の位置の範囲。大柄及び小柄運転員の両者が,楽に操作できる範囲。 3.7 到達操作範囲 (zones of reach)
手又は足で操作される補助操縦装置の位置の範囲。大柄及び小柄運転員の両者が,着座した位置から操作位置に届かなければならない範囲。ただし,運転員が身体を回したり,前方又は左右に傾けてもよい。
3.8 XYZ座標 (XYZ coordinate system) 操作範囲の位置を定めるための座標系。
a) SIPを原点とする。
b) X軸 (X-axis) 前後方向で,SIPの前方を+とする。
c) Y軸 (Y-axis) 左右方向で,SIPの右方を+とする。
d) Z軸 (Z-axis) 垂直方向で,SIPの上方を+とする。 JIS A 8411-1を参照する。
3.9 屈曲 (flexion) 身体の部分間の角度を変化させる動き。 3.10 内転 (adduction) 屈曲平面に直角な平面内で,身体の中心平面(XZ平面)に向かうか通り過ぎる方向の動き。
3.11 外転 (abduction) 屈曲平面に直角な平面内で,身体の中心平面(XZ平面)から離れる方向の動き。 3.12 捻転 (circumduction) 身体の軸の周りに円すい(錐)形に回す動き。 参考 主要操縦装置の位置は,最適範囲に入らない場合がある。このような場合であっても,少なくとも到達範囲に入れるのを検討する必要がある。また,足で操作する操縦装置の場合,最適範囲又は到達範囲に対して,後方(運転員に近い側)になるのはやむを得ないことがあるが,前方(運転員から遠い方)の位置となるのは避けるのを検討する必要がある。
4. 操縦装置の位置の範囲 4.1 操縦装置の位置の範囲は,SIPを基準として決定する。
4.2 手及び足で操作される操縦装置の最適操作範囲及び到達操作範囲を図1,図2及び図3に示す。これらの範囲は,ISO 3411に示される運転員の身体寸法に対応する。
4.3 操縦装置の位置の範囲は,大柄及び小柄運転員の共通の到達範囲によって決定される。これらの操縦装置の位置の範囲を定めるために用いられる特定の条件を附属書Aに示す。
4.4 運転員が座席で向きを変えて,手で操作する後部機器の操縦装置の最適操作範囲は,SIPを通る垂直軸の周りに30°までねん(捻)転させてよい。
4.5 指で操作する場合は,手で操作する場合の最適操作範囲及び到達操作範囲を,75mm延長してもよい。
4.6 附属書Bに,図1,図2及び図3を作図する際に用いるXYZ座標及び半径を示す。
JIS A8407:2000
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