JIS A8110:2000 機械振動−不釣合い変化の 起きやすさ及び不釣合い感度
1. 適用範囲
1.1 この規格は,不釣合いに対する機械の振動の感度を求める方法を定め,運転速度に対する危険速度の近接の度合いの関数として感度の評価の指針を提供する。 不釣合いの変化の起きやすさに対して,幾つかの機械をグループ分けすることもこの規格に含まれている。また,幾つかの特定の機械についてどのような感度の数値を適用するかについての推奨案を示す。
1.2 機械を4.に示す三つのタイプに分類し,それぞれのグループの感度の値を5.に示す。この感度の値は単純な系の機械で,できれば全運転速度範囲内に一つだけ危険速度をもつような機械に適用すべきものである。複数の危険速度が互いに十分に(例えば,20%以上)離れていれば,運転速度範囲内に多くの危険速度をもつ機械にも適用できるであろう。
ここに提案した感度の数値は,特定の機械グループの受取り基準を提供することを意図したのではなく,むしろ重大な配慮不足や過度又は実現不可能な要求を避けるための指針を与えることを意図した。例えば,感度のより正確な測定が必要となるような特別な場合には,詳細な検討を行ううえでこの数値が役立つ。推奨する数値を参考として適切な対策をすれば,ほとんどの場合,満足な運転状態が期待できる。
これらの感度の数値に対して考慮するだけでは,必ずしも運転中の規定された振動値を超えないことを保証できない。振動の原因は,この規格のテーマ以外に数多くあることを認識しなければならない。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによってこの規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。 ISO 1925 : 1990 Mechanical vibration−Balancing−Vocabulary ISO 2041 : 1990 Vibration and shock−Vocabulary
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,ISO 1925及びISO 2041によるほか,次による。
3.1 不釣合い変化の起きやすさの指標 (Susceptibility to unbalance) 機械がある運転期間中に顕著な不釣合い変化を発生する程度を示す指標。
3.2 不釣合い感度 (Sensitivity to unbalance) 不釣合い変化に対する振動応答の尺度。 備考 これは,次の3.2.1,3.2.2に示す二つの方法で数値的に表現される。
3.2.1 局所感度 (Local sensitivity) 特定の速度で回転するロータ上の特定の軸方向位置の不釣合い変化の大きさに対する,ある特定の測定位置での変位又は速度のベクトル変化の大きさの比。 局所感度は,次のように表される。
3.2.2 モード感度 (Modal sensitivity) Mn モード偏心(モード不釣合いをモード質量で割ったもの)の変化量に対するモード変位ベクトルの変化量の比であり,それは無次元量である。 実際のモード感度の決定においては,顕著なモード成分を抽出する必要がある
JIS A8110:2000
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