JIS A1171:2000 日本工業規格JIS A 1171: 2000
1.適用範囲 この規格は,ポリマーセメントモルタルの試験方法について規定する。
2.引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS A 1128 フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法
JIS A 1129 モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法JIS A 1404 建築用セメント防水剤の試験方法JIS A 5308 レディーミクストコンクリート
JIS A 6203 セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂
JIS A 6204 コンクリート用化学混和剤
JIS A 6205 鉄筋コンクリート用防せい剤
JIS K 5664 タールエポキシ樹脂塗料
JIS K 8123 塩化カルシウム(試薬)
JIS R 5201 セメントの物理試験方法
JIS R 6252 研磨紙JIS Z 8401 数値の丸め方3.定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a)セメント混和用ポリマー セメントモルタル及びコンクリートの改質を目的にそれらに混和して用いるセメント混和用ポリマーディスパージョン及びセメント混和用再乳化形粉末樹脂の総称。
b)セメント混和用ポリマーディスパージョン(以下,ディスパージョンという。) 水の中にポリマーの微粒子が分散している系。次の 2 種類に区分される。
1)セメント混和用ゴムラテックス 合成ゴム系,天然ゴム系,ゴムアスファルト系などのゴムラテックスに安定剤,消泡剤などを加えて,よく分散させ均質にしたもの。以下,ゴムラテックスという。
2)セメント混和用樹脂エマルション エチレン酢酸ビニル系,アクリル酸エステル系,樹脂アスファルト系などの樹脂エマルションに安定剤,消泡剤などを加えて,よく分散させ均質にしたもの。以下,樹脂エマルションという。
c)セメント混和用再乳化形粉末樹脂(以下,粉末樹脂という。) ゴムラテックス及び樹脂エマルションに安定剤などを加えたものを乾燥して得られる,再乳化可能な粉末状樹脂。
d)ポリマーセメントモルタル 結合材にセメントとセメント混和用ポリマーを用いたモルタル。e)ポリマーセメント比 ポリマーセメントモルタル及びコンクリートにおけるセメントに対するディスパージョン及び粉末樹脂の全固形分の質量比。f)全固形分 ディスパージョンにおいては不揮発分,粉末樹脂においては揮発分以外の成分。
4.試験の一般条件
4.1数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401 による。
4.2試験室の状態 試験室の状態は,特に規定がない限り,温度 20±2℃,相対湿度 60%以上とする。この温度及び相対湿度以外は,その値を記録しておく。
5.ポリマーセメントモルタルの調製方法
5.1試験用機械器具 機械練りに用いる練混ぜ機は,JIS R 5201 の 8.1(2)(機械練り用練混ぜ機),機械練りに用いるさじ及び手練りに用いる鉢及びさじは,JIS R 5201 の 8.1(3)(手練り用練混ぜ器具)に規定するものとする。5.2材料の準備a)試験に用いるすべての材料は,あらかじめ試験室内に入れ,室温と等しくなるようにする。
b)セメントは,防湿容器に密閉して準備する。備考 セメントの風化による塊がある場合は,使用しない。c)細骨材は,粒度及び含水状態がバッチごとに変化しないように準備する。
d)セメント混和用ポリマーは,全固形分が変化しないように,密閉容器に入れて準備する。
e)練混ぜに用いる水は,JIS A 5308 の附属書 9(規定)(レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水)に規定するものとする。
f)既調合の液体材料は,濃度が変化しないように,密閉容器に入れて準備する。
g)既調合の粉体材料は,防湿容器に密閉して準備する。
5.3材料の計量 各材料は,ポリマーセメントモルタルの所定の配合に基づき,感量 1g のはかりを用いて,質量で別々に計量する(1)。ただし,水は,所定量が採取できる容積計量器で計量してもよい。
注(1)ポリマーセメントモルタルの所定配合は,通常,セメント細骨材比,ポリマーセメント比及び水セメント比によって表されるので,1回の練混ぜに必要な各材料の質量は,これらの値から,細骨材の含水率,セメント混和用ポリマーの全固形分などを考慮して算出する。
5.4ポリマーセメントモルタルの練混ぜ
a)ポリマーセメントモルタルの練混ぜは,機械練り又は手練りとする。練混ぜに用いる機械器具は,あらかじめ試験室に準備しておく。
b)ポリマーセメントモルタルの 1 回の練混ぜ量は,0.85∼1.20l とする。c)ポリマーセメントモルタルを機械練り又は手練りによって調製する方法は,
5.4.1 及び5.4.2 による。ただし,ディスパージョンを所定量含んだ既調合の液体材料や,セメント,粉末樹脂などからなる既調合の粉体材料を用いてポリマーセメントモルタルを調製する場合には,製造業者の指定する方法によってもよい。その場合,練混ぜ手順・方法を記録しておく。
5.4.1機械練りによる方法a)ディスパージョンを混入する場合 計量したセメント及び細骨材を練り鉢に入れ,練混ぜ機を始動させて 2 分間練り混ぜる。練混ぜを中断し,計量したディスパージョン及び水を入れ,直ちに 1 分間練り混ぜる。30 秒間練混ぜを休止し,その間に,パドルに付いたモルタルをさじでかき落とし,さらに,練り鉢に付着したモルタルをさじでかき落として 3 回練り混ぜてから練り鉢の中央に集める。休止が終わったら,再び練混ぜ機を始動させて 2 分間練り混ぜる。練混ぜが終わったら,練り鉢を練混ぜ機から取り外し,さじで 10 回かき混ぜる。
b)粉末樹脂を混入する場合 計量したセメント,粉末樹脂及び細骨材を練り鉢に入れ,練混ぜ機を始動させて 2 分間練り混ぜる。練混ぜを中断し,計量した水を入れ,直ちに 1 分間練り混ぜる。30 秒間練混ぜを休止し,その間に,パドルに付いたモルタルをさじでかき落とし,さらに,練り鉢に付着したモルタルをさじでかき落として 3 回練り混ぜてから練り鉢の中央に集める。休止が終わったら,再び練混ぜ機を始動させて 2 分間練り混ぜる。練混ぜが終わったら,練り鉢を練混ぜ機から取り外し,さじで 10 回かき混ぜる。
JIS A1171:2000
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