JIS E9210:2001 鋼索鉄道用ワイヤロープ及び ロープソケットの定着方法 Socketing procedure for wire ropes on cable cars−Molten metal socketing
1. 適用範囲
この規格は,JIS G 3525に規定する又は,これと同等以上のワイヤロープ(以下,ロープという。)で,鋼索鉄道に用いるロープの末端を金属でロープソケット(以下,ソケットという。)に定着する方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD(修正している),NEQ(同等でない)とする。 ISO 7595 : 1984, Socketing procedure for wire ropes−Molten metal socketing (MOD)
2. 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 JIS G 3525 ワイヤロープ JIS H 5401 ホワイトメタル JIS K 1428 塩化亜鉛 JIS K 2204 軽油
3. ロープ端末の事前処理 ソケットに通す部分のロープ表面を清浄な乾燥した布か,JIS K 2204に規定する軽油又はこれと同等以上の軽油などに浸した布で清浄にする。
a) ロープのシージング ロープを必要な長さに切断するときは,よりの緩みを防ぐために,次の箇所にシージングを行う。
1) ロープを切断しようとする部分の両端。
2) ロープは,その切断予定部からソケットのテーパ部の長さを残し,その位置からロープ直径の約3倍の長さをシージングする。
b) シージングする材料 標準品の亜鉛めっきの軟質ワイヤ又はストランドを使用する。
c) ロープの切断 ロープは,素線の位置を乱すことのないよう適切な方法によって,a)1)のシージング部分で切断する。グラインダカッタによる切断が望ましい。
4. 先端のばらしの準備
4.1 ロープの準備
a) ロープをソケットに通す前に,汚れ,グリース,スケールは,すべてソケットテーパ部の内部から取り除く。
b) ソケットにロープを通し,ロープのストランドを解き,その繊維心をシージング箇所の根元から切断する。 合成繊維心のロープでは,繊維心の切断端の損傷を避けるため,繊維心は適切な断熱材の栓(つめもの)によって熱影響を防止する。
c) ロープの端部を茶せん状に解き,素線のもつれ及び極端な曲がりを直して,ソケットのテーパ部の長さに合わせ切りそろえる。
4.2 清浄及びグリース除去
a) 茶せん状の素線は,有機溶剤,軽油などで素線に付着したロープグリース,汚れなどを落とす。
b) 一般的な塩酸又はこれと同等以上のものを2〜3倍に薄めた希塩酸に,JIS K 1428に規定する塩化亜鉛又はこれと同等以上のものを約10%溶解させた媒着剤をつくる。その媒着剤に茶せん状の素線を浸し,さび,めっきなどを素早く落とす。ただし,さびがないめっきロープの場合で,金属にJIS H 5401に規定するWJ2を用いたときの媒着剤は,約30%の塩化亜鉛の水溶液でもよい。
4.3 素線の折り曲げ 素線の折り曲げは必要ない。
5. 茶せん状部の前処理
a) 溶融した金属の中に,茶せん状の素線を浸して,めっきした後引き上げ,軽く叩いて余分な金属を落とす。 なお,溶融金属の温度は290±10℃とする。
b) シージング箇所の根元に,約5%の一般的な固形かせいソーダ液又はこれと同等以上のものを注いで中和させ,熱湯で洗い,乾燥させる。 なお,4.2b)のただし書きの作業を行ったときには,かせいソーダ液による中和は省略してもよい。 6. 茶せん状部,ロープ及びソケットの位置付けと並べ方
a) 茶せん状部をソケット内に引き込み固定する。
b) ソケット口元テーパ部に,シージング部をロープ直径の0.5〜1.0倍(最小15mm)入れる。また,素線の先端はソケット上端部より2〜5mm程度下げる。
c) 固定は,完全に行い予熱,注入時に振動,移動がないようにする。
d) ソケットとロープ軸心とを一致させ,各素線にかかる張力が均等になるようにし,ソケット口元下のロープは,少なくともロープ直径の20倍以上は垂直にする。
e) ソケット口とロープとのすきまから金属が漏れないように,粘土などでふさぐ。
7. ソケットの予熱 注入金属の湯流れをよくするために,ソケットは一様に十分予熱する。特に口元近い部分に重点をおく。また,予熱温度は150℃とし,茶せん状部の素線が乾くまで加熱する。
JIS E9210:2001
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