JIS B9936:2001 油圧−微粒子分析−運転中の システム管路からの作動油試料採取方法 Hydraulic fluid power−Particulate contamination analysis− Extraction of fluid samples from lines of an operating system
1. 適用範囲
この規格は,運転中の油圧システムにおける作動油試料を採取する手順について規定する。 推奨する方法は,採取箇所からの試料油が作動油中に含まれる微粒子を代表するように,運転中の油圧システムの主管路から作動油試料を採取することである。 もう一つの方法は,運転中の油圧システムの油タンクから試料を採取することである。しかし,この方法は,適切なサンプラを主管路に直接設置できないときに用いるものとする。 採取した試料は微粒子分析に用いる。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 4021 : 1992 Hydraulic fluid power−Particulate contamination analysis−Extraction of fluid samples from lines of an operating system (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0142 油圧及び空気圧用語 備考 ISO 5598 : Fluid power system and components−Vocabularyからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 ISO 3722 : Hydraulic fluid power−Fluid sample containers−Qualifying and controlling cleaning methods
3. 定義 この規格で用いられる主な用語の定義は,JIS B 0142によるほか,次による。
3.1 清浄な試料瓶 (clean sample bottle) ISO 3722に従い十分に洗浄し,その清浄度を確認した試料瓶。
3.2 管路からの作動油採取 (fluid sampling, line) 管路流れの乱流部からの作動油試料採取。
3.3 油タンクからの作動油採取 (fluid sampling, reservoir) 運転中のシステムの油タンクからの作動油試料採取。
3.4 サンプラ (sampler) 油圧システムの汚染状態を代表する作動油の採取を可能にする装置(図1,図2参照)。
3.5 乱流 (turbulent flow) 流れの速度と方向が急速に変化する流体の流れの状態。一般的に,レイノルズ数 (Re) が2 300より大きい場合,流れは乱流となり得る。Re≧4 000であれば,流れは乱流であると考えられる(附属書A参照)。
4. 作動油採取の原則
4.1 管路からの採取
4.1.1 次の特性をもつサンプラを用いて,主管路の乱流が発生している場所から試料を採取する(図1の例を参照)。
a) 作動油とシステムの運転圧力に適合する。
b) ボール弁によって試料油を流したり止めたりできる。
c) 弁の全開状態のとき,最小100mL/minの流量(可能なら500mL/min)でシステム圧力から大気圧力まで減圧する能力をもつ。管路用サンプラが清浄度及び粒度分布に影響を与えてはならない。
d) 内径が1.2mm〜5.0mmの採取配管をもつ。
e) 管路内の流れが乱流である部分に取り付けられる。乱流が保証できないときは,乱流誘発器のような乱流を作り出す方法を用いる。
f) 採取方法及び粒子計数器に適合する。
g) 繰返し性と再現性を兼ね備えた試料採取を可能にする。
h) 使用法が簡便であり油漏れがない。
i) 弁を使用していないとき,汚染粒子の沈殿が最小限となるような構造である。そして弁自体からの発じん(塵)を押さえる設計で,フラッシングによって洗浄できる構造である。
4.1.2 採取箇所は,主配管の内面における流れの境界層を避けた位置に設置する。サンプラは流れに対しておおよそ垂直にし,できれば上部から主管路に入れる。試料となる流体の出口は,流れが垂直で下部に導かれるように設置する。
4.1.3 試料を採取するポートには,弁又は急速継手の逆止め弁部を常時取り付けて置く。
4.1.4 周囲の汚染物質の侵入を防ぐために
4.1.3に示す部品にダスト防止キャップを備える。
4.1.5 汚染微粒子がシステム内にできるだけ均一に分散するように,少なくとも30分間は油圧システムを運転する。 備考1. 微粒子を均一に分散する方法が,あるシステムにおいて確立されている場合は,類似のシステムに適用できる。 2. 通常の運転条件の試料を望む場合,汚染のない人為的にきれいな環境で油圧回路を長時間運転しないほうがよい。
4.1.6 試料採取時にサンプラを全開にした状態で,約500mL/min(最小100mL/min)を流せるようにする。システム圧力と弁のサイズによっては,流量を減らすために弁の出口に適切な長さの細管を取り付ける。1.25mmより小さい内径の細管を使用してはならない。
4.1.7 サンプラは容易に近づくことができ,しかも周囲の汚染物質の発生源から離れた場所に取り付ける。 警告 高圧ラインからの流体の採取は危険なため,経験者だけが行う。
JIS B9936:2001
PS:Thank you for your support!